個別指導が人気であったころ、
「自立した学習」という言葉が流行していました。
この「自立」とは、自分の力で考えて学びを深めること・・・。
あれっ、知識も技能も十分備わっていない生徒に「自立」なんて・・・。
そう思っていた時に、他塾から情報を得たときに、
「自立」の「本当の意味」が解りました。
「自立」=教える時間を確保できるとはかぎらないから、一人で勉強してね!
「物理的孤立」を含んだ意味だったのかと・・・。
はじめて「言葉の力の恐ろしさ」を感じましたのを覚えています。
私自身もいろいろな指導形態を経験してきましたが、
「巡回指導」は、
正直なところ「教わる側」よりも、「教える側」の都合が優先されるものですね。
手のかかる、目をかけたい生徒にかかりっきりで、他の生徒は、そっちのけ。
どれだけマニュアル通り、研修を受けたとしても、
教育現場とは、そんなに型通りにいくことばかりではありません。
そもそも「完璧に自立できている」のなら、塾など頼る必要はないのです。
数年前、塾に求められているのは、
「自立」ではなく、「自律」なのだ、と思っていました。
しかし、時代は変わり「自立」すら塾に求める時代がやってきました。
親御さんのために、お子さんを預かるための塾、という側面が出てきたのです。
「親御さんの目を離れても、自立して学習してほしい」という思いから、
塾に通わせていらっしゃる方は、今も多いでしょう。
ただ、そういった塾ばかりでもありません。
わが塾は少々異なるスタンスを保っています。
私は「自律」を身に付けることが先で、
「自立」は、そのあとに自ずとしていくものだと思っています。
自分で学習することが出来ない生徒には、
まず「自律」をしてもらいます。
誰かが見ている、期限が決まっているなどの「外的ルール」や「目」を感じながら、
できるだけ自らを律して学習する習慣をつけるべきだと思っています。
自分の頑張った成果とするためには、
自分で計画を立て、自力で身に付けなければなりません。
そういった点で、「自律」の先にある「自立」した学習ができるよう、
私は、手取り足取りして指導することは、
中学生・高校生には、絶対にしないようにしています。
あれこれ「手取り足取り」してもらっていると、
甘えが生じ、主体的に勉強する意識が育ちませんからね。
まわりで「自律して学習している友だちや先輩たち」とともに
学習するように努めること。
それが、本当の意味で「自立した学習」に切り替わっていくための
前提条件になるのではないでしょうか。