現在、秋田県議会でも取り上げられているように、秋田県の高校入試については制度上、幾つかの問題点があるといわれています。
1.前期選抜(主として部活動による推薦)の合格者が、その高校へ入学するまでの期間に、何も勉強していないため、学力の低下が著しい。その結果として、入学以降の成績が振るわず、毎年「留年」か「進級」かの瀬戸際に立たされているケースが目立つ。
2.前期選抜は高校側からの「声」がかかった者が優先されるが、自己推薦も歴として出願方法に記載されている。しかし、ほぼ高校側から「声」のかかった生徒が合格することが決まっているのに、なぜ学力試験や面接をしてまで、自己推薦者を振るい落とそうとしているのかが、理解できない。
3.採点基準が明確ではない。公表されている採点基準だけではわからず、あとで公表される開示点がどのように採点されて出された点数なのかはわからない。
4.内申点と学力検査点の比重が示されておらず、学力検査点数開示が形骸化しているともとれる。合格者のほうが学力検査の点数が低く、不合格者のほうが合格者よりも50点以上高い事案が過去にもあったため、合否を決めるための基準を明確化し、公表すべきレベルのものを示す必要がある。
5.二次募集が実質、郡部のみとなっている。
以上の点について、私見を述べる。できれば、何らかの形で入試制度が検討する場にもたらされることを切に願っている。
1.前期選抜を「特色化選抜」にし、一般選抜とほぼ同日程で行うべきである。「スポーツ・文化活動推薦」「学力推薦」など、各学校で示す選抜内容に対して、ふさわしい生徒だけが合格できる仕組みであることが望ましい。また、学力検査については、できれば一般選抜と同日実施とし、5教科または3教科の試験は必要である。勉強せずに受験に臨む生徒が一人もいないようにすることが最も重視されるべき点である。
2.推薦については、声をかける生徒をとる枠と、自己推薦枠とを分けるべきである。「自己推薦枠:若干名」であっても、明記は必要である。なお、自己推薦枠は学校ごとに設置すればよいのであって、一律に設けるべきではないと考える。
3.採点基準については、これまで通りで問題はないと思われる。学校ごとに採点する際の基準は異なるって然るべきである。それを一律にしたいのであれば、全てマークシート方式にすればいいのである。しかしこの方法では、入試制度改革の流れに逆行し、その動機も生徒の学力を慮ったものではないことから、現実的に採用されるべきものではない。やはり、これまで通りでよいと思う。
4.内申点と学力検点の比重は明確にすべきである。手本は山形県。学力点:内申点については、7:3、5:5などのように設定し、各学校で内申点部分の点数の出し方について検討すればよいのである。生徒会長、東北大会進出、課外活動で県大会優勝など、各功績を青森方式のように点数化することで、自分の強みを生かした受験が可能になる。それは、高校側にもメリットがあり、入学させたい生徒の像にあったものを高得点として設定することを、裁量権としてある程度、高校側に付与しても良いと思う。
5.もしも、前期選抜を特色化選抜にして一般選抜と同時期に行う場合は「後期選抜」を導入すべきだと思う。初めから全体の10%枠を後期試験に充てるなどし、教科数を3教科に減らしたり、一般選抜のときに用いた学力点を申請に使うなどして、有効に実施することはできる。
【括り】
上記5つの内容を仮に実行するとなった場合にも、何らかの弊害は生じると思われるが、検討し始めなければ何も変わりません。他県と比べ、透明度の低い入試制度であることは間違いなく、入試問題は先駆的なものが多いのにもかかわらず、入試制度自体は実に古く、大学入試や中学入試にも合っていません。時代の要請にこたえつつも、本当に必要な学力を伸ばすための入試、学力を含めた人物像を確認できる入試、そして各高校が入学させたい人物を確実に合格させることのできる入試を実行してもらいたいものです。
※このままでは、秋田県の高校生たちの「5年、10年後の大学進学実績」が恐ろしいことになりそうな予感がして、ふと書いてみました。誤植、乱文などありましたらご容赦ください。
(余談)
入試当日、受検番号と氏名は「各教科の試験開始前」に書かせるべきです。開始後に書かせると国語や英語の聞き取り・リスニングの指示・注意事項中に名前を書くことになります。画数の不平等もあります。出題する側として問題があると思いますので、ぜひ試験開始前に書かせるよう願いたいです。模試を運営してみて、このほうがフェアであることもわかりました。